…ってタイトルで武側天と岡田の話を書こうかと思ってたんですけどまさかの本歌登場ですよ。タイトル考え直さなきゃな…
以下ネタバレ
中国異聞帯楽しかったですねー!
正直、虚淵シナリオということで「どこからどん底に落とされるんだ、油断なんかしねえぞ、来るなら来い(ナイフを振り回す絵文字)」みたいな気持ちでずっとプレイしていたので、えっこれで許してもらっちゃっていいんですか、みたいな感じも無きにしも非ずんば虎子を得ず
みんな達はどこで心の対ショック体勢取った~~~!? 私はねえ、コヤンスカヤのリョナ(もっとグロ描写来ると思った)と宇宙の長城(何かおぞましい作り方とか材料とかだと思った)と天帝の下賜(絶対もっとヤバい作用の薬だと思った)~~~!!!
蘭陵王はとっても良い子なんですが、正統派の良い子過ぎて後半の怒涛の濃ゆいキャラたちによってちょっと印象薄くなっちゃった感じがありますね。そこも含めて報われない薄幸のイケメンだと思います。ディルムッドと燕青に新しいお友達ができましたね。
というわけでカルデアへ行ってもらいます(宝具3)。弊カルデアは円卓の占める割合が多いので、東洋人の割合が増えるのも大歓迎です。仮面は私の好みの都合で付けたままでお願いします。
項羽と虞美人。この章の主役でもありますね。いやー実は私、途中までは予想が当たっておりまして! 芥ヒナコ→雛芥子→虞美人草→実装されるライダーは項羽! までは考えてたんですよ。まさか虞美人まで来るとは思わなかったし、芥ヒナコと虞美人が完全に同一人物とも思ってませんでしたし、真祖なんかワード自体思い出しませんでしたし、項羽はライダーじゃなかった。全然だめじゃん。
戦闘兵器と不死の仙女の相思相愛。これはもうギルエル回路が反応して仕方ないですね。というわけでカルデアに行って貰います(虞美人宝具3)。バレンタインだのホワイトデーだの与太イベントだの、腑抜けた日常を謳歌してくれ。
そして始皇帝。彼…彼女…あの方には是非ともシャドウ・ボーダーに搭乗して頂きたい。
秦は、これまでに見て来たロシアとも北欧とも違い、既に人類が繁栄しており、余裕でこの先も繁栄し続けられる世界でした。繁栄の定義は色々あると思いますが、生物の存在意義を「より多く自己の複製を残す」ことのみに絞るならば、あの世界の在り方も肯定されて然るべきです。
正直、私はあの世界に住みたい。けして損なわれない健康、苦痛ではない労働をすれば決して飢餓はなく、貧困の無い世界に争いもなく、余計な知識も思想も持たぬまま、衰えが始まれば眠るように死ぬ。徹底した四苦八苦の排除。日向の植物のような一生が、万民に保障されている世界。
始皇帝は、「たとえ進歩が無くとも永遠に現状維持ができればそれは恒久平和である」という考えのもと、世界征服をして地球を統一国家とし、この星をまるごと自分の箱庭にしました。人類から完全に苦しみを取り除き、その精製された平穏を守るべく、自分は不老不死となり、永遠に箱庭の管理をすることにしたわけです。
この平和を否定することは本当に難しいと思います。だって数えきれない戦火の果てにやっと人類が手に入れた平和であることには間違いないからね。シナリオの最後の最後まで、どうやって主人公はこの世界を滅ぼす理由を付けるのか(その理由付け如何では完全な駄作になる)とこっちがハラハラするくらいでした。
選択の自由が無いことを不幸と言い切れないことは現代社会を見れば明らかです。文字を知らない、文芸を与えられないことが不幸と決めつけることもまたできません。箱庭の植物であっても、植物たちが健康で幸福に咲いていればそれを否定することは誰にもできないでしょう。
それではなぜあの世界は剪定されなければならなかったのか。それは一重に、「万民の幸福を支えるのがたった一人の皇帝である」ということだと思います。その結果、「万民の価値が無くなってしまった」ということなのかな、と私は思いました。
シナリオの中でも、始皇帝が「自分こそが真人、まことの人」と言い、知識を独占していました。独占した知識で自らの能力を向上させ、万民の支配に充てていたわけなので必ずしも悪とは言えません。でも、二千年以上全てのことを自分一人で行ってきたから、小型化したものを大量生産して普及させるという考えが全く浮かばなかった、というのが本当に面白い。そりゃそうだ、どれだけ巨大化してもたった一つの特注品さえあればいいし、民は支配するものであって自分と同列ではないもんね。
その結果、不老不死の体を随時アップロードさせて組み上げてきた、一台きりのスパコンのような皇帝は、「意志を持つ万民」が「小型で廉価な端末を自由に使役」し「互いの思想を比較・競争させる」…数十億台にのぼる小さなスマホには、総体として演算能力で劣ってしまう。
もちろんスマホの汎人類史には、皆が意志と思想を持つが故に争いが絶えない。能力としては上回っていても、だからこちらが正しいのだ、とも言いきれない。人類に幸福を、世界に平和を、という部分だけを抜き出せば、絶対にこの異聞帯の方が成功しているわけです。
だからこそ、戦いの後に始皇帝が「禅譲」という言葉を出したのがもう~~~~~たまんなかったですね。
禅譲とは、支配者が血縁ではない人間にその支配権を譲り渡すことです。子どもの居ない王が有能な家臣に王国の行く末を託す、とかのシチュエーション。人類史の勢力争いの末に始皇帝の異聞帯は負けたわけだけれど、「負けたから自分たちはお前たちに滅ぼされる」っていう考えじゃないんですよ。あくまでも自分はこの地球の主である、けれどお前たちの力の方が優れていることが分かった、だから「地球の支配権を譲ろう」、とこう言ってくれたわけです。
ほんと繰り返しになりますけどね、「この異聞帯滅ぼすの難しいな」って思ったんですよ。ロシアと北欧がね、もう完全にどん詰まり、主人公が手を出さなくてもそのうち勝手に滅びるでしょって感じだったのもあって、たぶんラストは罪悪感はんぱないだろうなって思ってた。
(余談ですが、シリアスの間にちょいちょいコメディタッチのシーンが入るの、私は「こんな冗談言って笑えるような心の余裕がある世界を滅ぼすのか…」ってかえって落ち込んだ)
それがね、蓋を開けたらこうですよ。いや実際滅ぼしてるんですよ? 主人公は、放っておいても千年万年続いたであろう恒久平和の世界を、自分たちの歴史を生かしたいからっていうエゴで滅ぼしたんです。でも後味が全然違うんだ、始皇帝のお陰で。
「お前たちは自分たちより優れている、だからこの先を生きるべきだ」っていう、ある意味では赦しを得たわけです。
そんでねーーーあの召喚台詞。「ああは言ったがそなたの道行きが気掛かりで」???「傍らにて見守る」???ハァ~~~~~~!?!?父性大爆発系君主は賢王様で間に合ってますけど!?!?!?まあこの二人好みの人類観が全然違うから根っこの部分では殺し合いになると思うよ、まあそれは置いといて
ようやく最初に戻ります。始皇帝にはシャドウ・ボーダーに乗ってもらう。それで、これから先の異聞帯を一緒に見て貰う。
たぶんここからは中国みたいな、えっこれ滅ぼしたらウチらが悪役やん…みたいな世界ばかり出てくるんだと思うんですよ。そういうね、倫理と道徳のせめぎあいをね、主人公と一緒に見て欲しい。そこで何を思ったか教えてほしい。
皇帝は二千年間ひとりで信念を貫き人類を管理してきましたが、それでも厭世的になることもなく、ユーモアや情緒を喪わなかった。そのタフな精神力と好奇心でね、自分の常識の通じない世界をバシャバシャ浴びて欲しいなあと思うわけです。そんで常に新鮮に驚いて欲しい!
あー引けてよかった本当に引けてよかった。「それちょっと不敬であるぞ~?」のあたりからね、人型が来たらやべえなって思ってたんですよね。あー本当に引けて良かった。この異聞帯の空想樹、なんと最後は始皇帝単騎で切除しました(後半のB宝具威力減衰で先発メンバーが総崩れになった)。偶然の産物ですが、自分の不始末は自分で付ける、みたいな皇帝の意地を感じた展開でしたね。始皇帝、単騎性能凄いです、死なない。流石の不老不死。
ところで陳宮と馬、面白いコンビだったのでもっと活躍が見たかったですね。