ギルガメッシュのマスターになる夢を見た
舞台は渋谷だった。冬の夜だった。
駅を出てハチ公口? の夜景と喧騒を見ながら、「こちらが渋谷です、お越しになったことはございませんよね」とか死ぬほど気使いながら話し掛けた。
ギルガメッシュはたぶん髪の毛上げて黒っぽいモッズコート着てた。普通にかっこよかったと思うけど一度も顔を直視できなかった。それで私の振った会話は基本オールスルーだった。
自分でさっさと先に行っちゃうしめっちゃ歩くの速いから、人混みの中で追い付くのが本当に大変だった。見失うたびに死を覚悟した。なんとか危ういところで見付けられるたびに安堵感で死にそうになった。
多分センター街? を歩きながら、水星の語源になった神?とヘラクレスの因縁についての話を拝聴した。ギルガメッシュいつの間にかスタバでコーヒー買って飲みながら歩いてた。
なぜかそのとき私は半袖の服を着ていて(もっと暖かいところにいた? 成り行きで渋谷に来た?)、上着を買うためにここに居るらしかった。なのにギルガメッシュ凄い速さで歩いていくから店見るどころじゃなかった。いま考えたら蔵から何か出してよ。
別に寒いわけではなかったけど、ぜったい服を買わなきゃいけないっていう切迫感があって、ショーウィンドウに一瞬目を逸らしたら、案の定ギルガメッシュいなくなった。
慌ててそこら辺探し回ってたら、カタカナの羅列みたいなよく分からない名前からスマホに着信があった。絶対ギルガメッシュだって思って、これ取り損ねて間違えて切ったりしたら命は無いなって、死ぬほど緊張して慎重に取った。
第一声で「遅い‼‼」だった。でも予想したほどのガチギレではなかった。申し訳ありませんって平謝りしながら今どちらにおいでですかって聞いたら「もう六時半ではないか。戻る時間はない。このまま合流する」って言われた。
その時になって、これから他のマスター達に会うことと、そのために上着を探してたことを理解した。それで、忘れたけど半蔵門線の割と都心の駅から中央林間までどのくらい掛かるか聞かれて、三十分もあれば…って答えて、二人で地下に降りながら
(別の組って誰が来るんだっけ? オジマンとか?(蒼銀ぽい世界観だと思った)うわーやめてくれー(こんなのが二人もいたら目のやり場に困って死ぬ)ていうか何のために会うんだ? 敵同士じゃないのか? ていうかギルガメッシュ誰と打ち合わせしてたんだ? まぁいいか、ギルガメッシュがそれでいいなら…ギルガメッシュがサーヴァントなら死なんだろ…)
って夢の中の考えと現実の考えが交錯して、我に帰った感じで目が覚めた。冬の渋谷の匂いがまだ髪に付いてる気がする。あのネオンと雑踏すごく生々しかった。結局、服を買えなかった。
マジでギルガメッシュが私の質問に答えないし私の気持ちを慮らなかった。でも嫌われてるわけでも不機嫌でもないっていう、ただメチャメチャ我儘なだけの凄い強い人が隣にいるっていう、ほんとあれは意思疎通できないライオンと隣り合わせで歩いてるようなもんだった。
とても楽しかった。
(2017/08/24)