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10月にイギリスを旅行してきた。
ロンドンでは赤井秀一のために高級住宅地を視察し、シャーロックホームズの聖地巡礼をし、ハリーポッター・スタジオへ足を延ばし、リヴァプール~湖水地方でビートルズとピーターラビットと脳内ジョースター家にまみれてきた。ハローマイネームイズオタク。


帰りのヒースロー空港で時間が空いたため、親戚へのバラ撒き土産を買うことにした。
(本当は帰国後にamazonで買うつもりだったのだが。だって国境を越えて荷物運ぶのも管理するのもだるいじゃん。旅先でわざわざ買って手に携えて帰国するのは気合いの入った土産だけと私は心に決めている)

適当にイギリスっぽいお菓子なんかをざかざか籠に詰めていたら、フォートナム&メイソンのコーナーに来ていた。お高い紅茶やお茶菓子を眺めながらブラックラグーンのことなど思い出していると(シスター・ヨランダが好きって言ってなかったっけ。W&Mだっけ)、見つけちまったんだな、それを。

アドヴェント・カレンダー。しかもチョコ入り。

天井がドーム型になった五角柱の形をしていて、レトロなアパートメントみたいな絵が描かれていて、それぞれの部屋の窓に日付が付いていた。どの面も一番下の階がフォートナム&メイソンの店舗入り口になっているので、もしかしたらかつての本店の様子を模しているのだろうか。
チョコレート入りなのはFor Childrenの商品だからで、大人向けには窓を開けると紅茶のパックが出てくるものが売られていた。もちろんもっとシックなデザインで。

私はこのチョコレート・アドヴェント・カレンダーをプレゼントされる、様子の良い子ども(たしか50£しないくらいだった。大人の趣味ならともかく、子どものおやつとして買うには高そう)と、その上品な家庭が古典的なクリスマスを楽しむ様子を想像してニヤついた。
実は私、クリスマスカードの蒐集も好きで、キリスト教圏へ旅行すると買ってくるようにしている。それらのカードで見るオールドファッションなクリスマスには、よくアドヴェント・カレンダーが登場した。

憧れがあったのだ、アドヴェント・カレンダー。12月に入ったら1日いちにち、カウントダウンをするように神の子の生誕を待ち望む文化。一神教の醍醐味だよなあと思う。仏教生まれ仏教育ちには分からない感情の機微だろうと想像したものだ。もちろん、クリスチャンには仏教徒の感性も理解しづらいだろうが。

で、買っちまったんだな、それを。


イングランドのオールド・ファッション・クリスマスを象徴するようなチョコ入りのアドヴェント・カレンダーは、いま極東アジアのクソミドリ地方ド田舎ディビジョン、冴えないアパートの玄関に置かれている。クリスマスカードと一緒に飾ってみたら、そのコーナーだけ明らかに西欧の風が吹いてしまい、隣の博多人形がとても不憫だ。
あまりのオーラのギャップに気圧されて直視できないでいるうちに二十日あまりが経ち、ようやく気付いた。

チョコレートを食べていない。

というか窓を開けていない。

なーーーにが憧れのアドヴェント・カレンダーだ。カウントダウンどころの話ではない。私はもはやその五角柱を置き物としか認識していなかったのだ。キリストの生誕も蜂の頭もありゃしない。隣のクリスマスカードが泣いている。
私は粛々と五角柱の底から箱を開け、注意深く中のチョコレートを取り出した。窓は開けなかった。来年も飾ることを考慮し、見た目の美しさを優先したのだ。For Childrenの商品へ注がれる大人の小細工。

私は線香の匂いが染みついた炬燵へ戻り、番茶と一緒にチョコレートを三日分ボリボリ食べた。めっちゃ美味しかった。さすが高級店。本来は12/1~3に一つずつ味わわれるはずだったチョコレート(ご丁寧に一つずつ形が違う)は、こうしてあえなくこの世から消えた。色即是空、諸行無常。凄く美味しいので一気に食べるのがもったい。おそらくチマチマ一月中まで食べ続けるだろう。

今夜のメニューはおでんと塩辛です。
2018/12/22(土) 07:44 日々 PERMALINK COM(0)
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